【現場いろいろストーリー】2021.2-北海道 鈴木木材の鈴木さん

古くて新しいもの

〜知れたものよの世界〜

広葉樹とは

人間が植えたものではありません。

鳥だとか、風だとか、

自然によってそこに落ちたものが

生えて出てきたもので、

同じものはありません。

勘の世界です。

そんな仕事をしています。

鈴木木材有限会社さまホームページより引用させて頂きました。(鈴木さんの言葉)

私はこのメッセージを読んだ瞬間から既にまだお会いしたことのない鈴木さんに心を掴まれていました。シンプルで潔く、謙虚な中にも力強い信念を感じる言葉。何か大きな存在に包み込まれるような気持ちで、鈴木さんの「人となり」を勝手に想像し、いつかお会いできる日が来るのを心待ちにしていました。そして、遂にその日を迎えることが叶い、木平と近藤に加え現在進行中プロジェクトのお施主様である、トータルビューティカンパニー「uka」の代表・渡邉季穂さんも一緒に4人で函館に行ってきました。今回はお施主様ご自身で木材をお選びになることもミッションの一つでした。木や木材に関するレポートはまた次回のコラムで書いていこうと思いますが、今回は鈴木木材さんについての熱い想いを、鈴木さんが丁寧にゆっくりと紡ぐ言葉を所々交えながら書いていきたいと思います!

幼少期から山と木と共に生活をしてきているので、理屈ではなく身体でそのこと(山と木)を理解して覚えてしまっていると、語る鈴木さん。時には、山に入り近くの木を切って、テント生地とトタン屋根を使って小屋を作り、1ヶ月くらい山籠りをしながら遊ぶこともよくあったそうです。本当に山が好きで木が好きなことが伝わってきました。“ 木を見ればどんな場所でどんな環境で育ったのかが解る ” とおっしゃいます。山深い所か里山か、斜面の過酷な場所か平地か、湿地か、など。木のことを「おれ」と例えて、“ おれ(木)は、こうゆう斜面にいたから、ここにシワができて、こんな割れ方をするんだ ” とか、木を見るとどこで育ったかを想像できるそうです。山の伐採もやってきた鈴木さんは “ 原木を見て中を割って見なくとも、樹形や木口を見ると解ってくるし、原木の中身も、こう、私にシグナルを出すんですね ” と続けてゆっくりと優しい口調で語られました。

そして、農林規格から外されてしまった材をなんとかして使いたい、活かしたい、粉砕してチップにしてしまうのはもったいない。巷でよく使われる「救出」などの大袈裟な言葉ではなく、鈴木さんはただシンプルに、丁寧に言葉を選んでこう語ります。“ 活かしようがあるものとか、まだ寿命を全うしてない生き物(木)に対してそんなことはとても残酷なこと ” と。“ 今思えば原料もそうだけど、ものが少なくなってきている。戦後から、体験として身体でものを見てきているから、山も木も愛しく思う ” 。続けて、“ 人間の時間は、なんとでもなんぼでもなるんだから、そうゆう愛しく思うものにもう少し手をかけなさいよ、ってね ” と優しく目尻を下げて語られる鈴木さんの笑顔は、そこに居合わせた誰もを幸せにする笑顔でした。そして、“ 自分が製材したものがどんな人の元に行って、どんなものになるのか楽しみなもんで、娘を嫁がせるような気持ち ” と語られた言葉が印象的でした。

先日、鈴木さんが十勝の山に行ったお話をしてくれました。朝5時発の函館から十勝の日帰り遠征旅。そこでは、規格から外されて建材として使えないようなものや、形がいびつなものがたくさんあって、中にはチップの機械に入らないもの、半分は使えるけど半分は使えないから捨てられてしまうもの、こういったまだまだ寿命を全うできていない木がたくさんあるそうです。それを鈴木さんは愛でる様に連れて帰ってくるのでしょうね。“ 大体そういう木は樹齢が300年クラスで材質も木目もすごく良いんだよね ” と。

そして、この後は私が二人から聞いた、木平と近藤の想いを綴っていきたいと思います。二人が鈴木さんに出会ってから約2ヶ月が経ちましたが、鈴木さんに惚れ込んでしまった二人は、気づけばもう三度の足を運んでいます。鈴木さんの人柄は私の綴った想いでも皆様に伝わったと思いますが、「ものをつくる」という視点からの設計者の想いに繋ぎます。

“ 自然素材を扱うことはもちろん、材料ひとつに対しても、僕たちは扱う人・加工する人の顔が見えて、想いがきちんと存在しているものを使っていきたい。別に高級なものとか、珍しいもの、に興味はないし、探している訳でもない。自分たちと同じ想いを持った人が作ってくれたものを探して使いたい。だから僕たちにとって鈴木さんは、良い意味で建材屋さんでも取引先様でもなく、僕たちの勝手な思いかも知れないけれど、僕たちのチームの大切なひとりだと思っている。鈴木さんは、本来絶対に使われない様な立ち枯れした木や、建築でははじかれてしまう様な木を、身体に染み付いた経験と工夫で活かしてしまう。真っ直ぐした材が良いのは当然だし、扱いも簡単なのは誰だって解る。でも鈴木さんは型にはまらないし、ものも規格にはまらない、だから鈴木さんと「ものづくり」をしていくことは良い意味で想像がつかないものが出来そうで、たまらなくワクワクする。” (木平)

“初めて会った時から木を大切にして、木と一緒に生きているのが伝わってきた。人生を木と共にじゃないけど、ほんとに隣に木を置いて、向き合っているんだなーと。実際、ちょっとだけ仕事ぶりを見せてもらったんだけど、ほんと、なんでも出来るし、職人としての木を扱う仕事に対するスキルもかっこいい。どうやって帯鋸を入れたら良いか、表情が良くなるのか、一目でわかるところも凄い。何より、鈴木さんの生き方がすごく素敵だし、人柄がすごく素敵だし、鈴木さんがつくる木材だったらきっとみんな良いものになるんだろうなと想像ができた。木を生きものとして見ていること、ま、そのとおり生きものなんだけど、なんかそのことをすごく一番感じた。私達に対してもナチュナルに初対面から向き合ってくださったし、専門家なのに偉ぶることもしなければ、素人の質問に対しても真摯に答えてくれるし、分け隔てなく接してくれたことが本当に嬉しかった。よく、土地が人をつくると言った言葉があるけど、ほんとにそうだなと、ご家族も温かいし、暮らし方も真似できない。こうゆう素敵な方達と付き合うことができたら、自分達も成長できるし、建築の幅も広がるんだろうなと思った。鈴木さんに会ってから、ますます木に興味を持てたし、今までのような針葉樹だけに囲まれた生活は味気がないと感じた。広葉樹は扱いが難しいけど、木の表情がそれぞれ違う面白さが徐々に解ってきてワクワクしている。”(近藤)

二人の思いも紡いだところで、最終的に、「ワクワクする」と言ったところがやっぱりこの二人なんだな、と私も勝手に合点を合わせひとり腑に落ちる、函館の旅でした。(m.t)