【建築探訪】2023.3-秋野不矩美術館

今回の建築探訪は、現在SPCの最年少スタッフ“怜”が行ってみたい建築にしよう!ということで、先輩であるエリイと一緒に「建築探訪希望プレゼン」を企画することに。

そして、“藤森照信氏の建築集を見てからずっと行きたいと思っていた”と語る怜が選んだ秋野不矩美術館へ行くことになりました。二人で1日のタイムスケジュールを組み立てています。

そしていざ浜松へ!静岡県といえばランチは「炭焼きレストランさわやか」に決まり。2〜3時間待ちは当たり前ですが空いている店舗を探しながら、ほぼ待ちなし!というありがたい奇跡ですぐに店内に入ることができました。

産地・牧場・加工場を指定した牛肉100%ブロック肉のハンバーグは、生でも食べることができるほど新鮮なお肉を使っています。本当に美味しかったです!

さわやかハンバーグでお腹を満たした後、美術館に行く前に浜松市の都田という町に立ち寄りました。

都田駅のホームで記念撮影。

そして次に向かう目的は「DLofre’s」ですが、この都田の駅も手がけられています。

ドロフィーズキャンパスは1万坪もの敷地に30以上の施設が点在しています。

過疎化してしまったこの町の再生を願う都田の住人の方々と共に存在しています。素敵な関係ですね。

早速みんなで敷地内に入っていきます。そして、今回は主催者である怜とエリイのコメントも交えながら書いていきます!

「自然の時間経過と共に絶妙な間隔を空けて増えていく建物が自然の邪魔をすることなく共生しあっていて、一つの建物からほぼ全ての建物を見渡せることから一体感が生まれているのだと感じた。それは丁寧なものづくりもさることながら、自然へのリスペクトがあってこそできるのだと思う」と、怜のコメント。

さて、竹林の山を抜けて高台から都田の町とDLofre’sの敷地全体を見渡す男子二人を発見。それぞれに描く絵は同じです(Same Picture )

次は展示室へ。木組でできた知恵の輪のようなものを皆で必死に解いています。

こちらは天板が宙に浮いているテーブル。これには木平も近藤も釘付けの様子。

敷地内には、みんなと分かち合いたい本を置いて、読みたい本を持ち帰る、といった趣旨の私設図書館「Tiny Free Library」がありました。

そして次は施設内にあるCaféへと向かいます。

「つくり途中の部分も“途中”ではなく“推進”を感じる」と、エリイのコメント。

ゆっくりと上へと歩みを進めるとハンモックを発見しました!

こんなものを発見してしまうと、誰かを乗せて揺らしたくなるのがいたずらっ子の性質・・。テンション上がった顔してますね。

餌食となったのは・・もちろん我が社の代表木平!!なすがままの木平を最後に、次の目的地へと向かいます。

そして、秋野不矩作品との調和をコンセプトとして建築家・藤森照信氏によって設計された「秋野不矩美術館」へようやく到着しました。坂の下から建物までのアプローチには、常緑樹を中心とした植栽が自然との調和を図っています。

上にのぼると低層建築ですが敷地に高低差があるので、下から見上げたときの天竜杉が張られた基礎はとても迫力があります。

随所に細かな工夫がされていて、こちらの排水溝の蓋には木製のものが採用されていています。

坂道を照らす街灯には使い古しの木製の電柱に傘がついた白熱灯が取り付けられています。

こちらは2018年に完成した、藤森照信氏設計の茶室「望矩桜」。

擁壁のコンクリートブロックは杉板で覆われています。

天竜ヒノキをはじめとする地域の素材を多く取り入れた茶室。個性的な建築物なので度肝を抜かれましたが、とても親しみやすく面白い。

「なんとも言えない不思議な形で生物感がある、でも可愛いフォルム。藤森さんはイノシシのようだと書いていたが私はヒヨコのようにも見えた。地元の小中学生が手で曲げた銅板は他では絶対に真似できない表情を作っていて、作品の持つ面白さや可愛さに繋がっていると感じた」と、エリイの感想。

さて、美術館の方へ向かいましょう。

かっこいいエントランスのドア。

「館内ホールに入ってすぐ目に入ってくる焼かれた木柱。その存在感は圧巻でした。また、角を削っているからか、窮屈感を感じさせない居心地の良い空間だった」と、怜の感想。

「框と床の仕上がりがものすごいワイルドで目を引きました。大雑把に見えながら手摺をつけているあたりや、この波のような見切りは、多少偶発的でありつつも必然性を持っているんだなと驚いた。個人的な印象としては全く気持ち悪くはなく、むしろこの空間である種の芸術となっていると感じた。また、一見木に見えてしまったこの壁はコンクリとのこと、すごくかっこよかった。」と、怜のコメント。

昔の型枠の説明を熱心に近藤に質問している怜。またひとつ学ぶことができました。

こちらが天竜の杉材の板で覆われた外壁と、長野県諏訪産の鉄平石で葺かれた屋根。

そして、もう一つの素材として外壁に使われているのが、ワラと土を混入した着色のモルタルです。

また、こちらはヒノキとサワラの半丸太をくり抜いた木製の雨樋で、雨が降った日はここから雨が滝のように流れ落ちるそうです。その光景も見てみたいですね。

こちらはホールの横にあるテラスのような空間からの景色。敷地までのアプローチや美しい緑の自然を眺めることができます。

みんなそれぞれ思いに耽っている様子。五感をフル活用して“心地よい”と感じさせてくれる癒しの空間です。

この空間・素材の肌触り・匂い・自然の音などを感じている様子。近藤も身を乗り出していました。

こうして皆で建築探訪をして本当に楽しく学べることができました。私は広報の業務を担当しているので、建築や設計といった業務に直結はしていませんが、今後もより多くの建築を見て少しでも自分の担当業務に落とし込んでいけるよう努力したいと感じました。

そして、この企画を考えた怜とエリイが今回の「建築探訪」の報告会を開いてくれました。最後に、怜の感想をそのままお伝えして締めくくりたいと思います!(m.t)

「藤森さんの建築は、藤森さんがやりたいことをやっている、という印象でしたが、いざ建物の中に入って体感することで色々なことを感じることができました。細部の仕上げや材質が変化していく空間は、時間を忘れるほど居心地の良さが館内全体に広がっていた。ここに訪れる人、居る人、のことを第一に考えてつくられた建物なのだと新たな印象を受けました。また、このことは建築で大事なことだと再認識できました。このような機会を作っていただきありがとうございました。」by怜