【現場いろいろストーリー】2021.6-北海道産無垢材-キハダ

先日、「鈴木木材の鈴木さん」についてのコラムを書かせていただきましたが、今回は「樹」について書いていこうと思います。「樹」と言っても様々な種類がありますが、今回の主役は「キハダ」。
まだ深々と雪が降り積もる2月、トータルビューティーカンパニー「uka」の代表・渡邉季穂さんと一緒に鈴木木材さまに行き、季穂さんがサロンのカウンターに選ばれた材がこの「キハダ」です。

写真を見ても解るように「キハダ」は、樹皮の表皮と内部の木質部との間にある肉皮がとても鮮やかな黄色になっているのが特徴です。ただ黄色いだけでなくこの黄色い肉皮に苦味成分があり、漢方(主に健胃・整腸剤)としても広く知られています。

この辺り(北海道)では、昔から皮を剥いで鉄瓶に入れ、ストーブで沸かして健康の為に飲む習慣があるそうです。この後、この黄色い肉皮を口に含んでみましたが、お話通り凄く苦くこれは効きそうだな、、と思いました!また、中国では高貴な樹として位置づけされており、お坊さんの袈裟の黄色はキハダで染色されているそうです。

この写真は製品として加工されたもの。特に右側のものですが、よーく見ると横方向に細かいシワ(鈴木さんはギラギラした線と表現していました)が入っています。このシワが入っているものは希少価値が高い部材で、斜面に対して樹が曲がって育ち、そこに樹の力が掛かってシワができるそうです。過酷な環境で粘って踏ん張って育った樹なので、その分力が強く割れが出たりする場合もありますが、個性として活かすこともできます。人間の肘も曲げるとシワができるのと同じように、樹も同様。それを板状に製材すると、このようにシワができるとのことです。

写真はキハダを製材したもの。最初の加工の時はもっと黄色い風合いですが、空気に触れたり、人が触ったりするうちに、色がだんだん濃くなっていきます。そして塗装に関しては基本的にアマニ油を使います。化学系のものが入っていないので、人にも環境にも優しく害はありません。その代わりに塗装としては弱いですが、住宅で使う分には植物系はお勧めで、木の呼吸を妨げずに防カビ・防腐・撥水などの効果が期待できます。

写真は割れた部分の木の力を抑えるために、割れ止め(チギリ)を施工した写真になります。このリボン状の形はデザインというよりは昔からの伝統的な形だそうです。木というのは、夏場は水分を含んで膨らみ、冬場は乾燥して縮むので、割れたり反ったりします。そのことを「木が暴れるとか、狂う」と表現します。

でも、実際に木の反りや暴れを止める力は「反り止め」という施工で抑えています。写真のように、台形の溝を掘ってそこに角材を滑り込ませます。

ここで大切なことは、完全に木材をガチッと固定するのではなく、木が動いても良い様に加工をしてあげることだそうです。そのため、角材で支えているだけで接着はせず、少し隙間をあけています。このように樹は「植物」としての生を終えたあと、「材木」として第二の生を受け、そして製材した後も環境の変化で動き続けます。その中でもキハダは暴れや狂いが出にくく比較的使い易い樹だそうです。

写真は現在進行中の現場で出たキハダの端材ですが、なんとなく黄色っぽい色味が分かりますね。紫外線や日射の影響で色はどんどん変化していきます。製材して出来上がった段階が一番きれいで、さっぱりした印象になります。ここから年月が経って質感が上がっていくので経年変化が楽しめます。

最後に、来月オープン予定の店舗カウンター製作途中の写真をチラッとご紹介。完成しましたらきちんとお披露目させていただきます!! (m.t)