SPCの温熱環境

Same Picture CompanyはHEAT20 G2グレードを標準仕様とします。

私たちは”自然と共に暮らす”、”外部とのつながりを緩やかに保つ”事を大切に考え住宅の設計を行います。一方で外部と内部の境界(外壁や開口部)をしっかり作らないと夏は暑く、冬は寒い住宅になってしまいます。
SPCが目指す快適さとは、極力機械空調に頼らず、通風・日射遮蔽・日射取得などで室内環境を快適に保つ事です。全ての室をG2グレードの外皮に包まれた場所にするのではなく、土間や縁側などの中間地帯を設けることで、人それぞれの快適な体感温度に沿うように考えます。その場所に行くと風を感じる事が出来る、外の空気を感じながらくつろぐ、様々な過ごし方ができるような快適さを目指します。

HEAT20について

HEAT20は地球温暖化とエネルギー問題対策の為に発足した機関です。
国が定める省エネ基準は主に一次エネルギーを削減する為に作られたルールです、加えてHEAT20では住宅内の体感温度が15°未満となる割合、冬季の最低体感温度、暖房負荷の削減率など快適さや、居住者の健康を数値で表している所が特徴です。

外皮性能U値について

HEAT20では各グレードに応じてUA値を定めています、UA値とは外部の熱を遮断して、内部の熱を逃さないために施す、外壁、開口部の断熱性能の指標です。この値は低いほど性能が良い事を示します。表を見ても分かる通りHEAT20 G2と省エネ基準等級4を比較すると地域により異なりますが、約2倍の性能が有る事が分かります。

地域 1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域 8地域
HEAT20 G2 0.28 0.28 0.28 0.34 0.34 0.46 0.46 -
HEAT20 G1 0.34 0.34 0.38 0.46 0.48 0.56 0.56
ZEH 0.40 0.40 0.50 0.60 0.60 0.60 0.60
ZEH+ 0.30 0.30 0.40 0.40 0.40 0.50 0.50
省エネ基準等級4 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
※神奈川県の三浦半島、東京23区は6地域に該当

開口部(窓)について

外壁、開口部の性能を数値上満足させるだけでは、本当に心地よい空間が出来上がるわけではありません。
夏場は開口部に直射日光が当たらないように、軒の出、庇などで日射を遮る工夫をする。特に西側の開口部には、外付けのブラインド、葦簀など外側から日射遮蔽措置を講じる工夫が必要になってきます。
反対に冬場は、外皮からの熱貫流率を押えているわけですから、開口部からの日射取得がなければ室内の温度は上がりません。四季の太陽角や高度の違いを利用して、計画的に日射取得、日射遮蔽をする事が、良い温熱環境を作り出す事になります。

HEA20のシナリオについて

前述した通りHEAT20には住む人にわかりやすい断熱グレードに対しての住宅シナリオを設定しています。
これは断熱グレードに対して、空調のスケジュールを設定し、室温がどのように変化するかをシミュレートしたものです

表1 想定する暖房方式
地域区分 1・2地域 3地域 4~7地域
暖房方式
【暖房時間】
LDK 連続暖房
【24時間】
連続暖房
【平日24時間、休日19時間】
在室時暖房
(深夜・日中は除く)
  • 【平日:14時間】
  • 【休日:13時間】
主寝室 在室時暖房
(深夜・日中は除く)
【全日:9時間】 【全日:3時間】
子供室
  • 【平日:3時間】
  • 【休日:7・10時間】
  • 【平日:3時間】
  • 【休日:7・10時間】
和室 暖房無し 暖房無し 暖房無し
  • トイレ
  • 廊下
  • 浴室
  • 洗面室
暖房無し

NEB 冬期間の室内温度環境

表2 冬期間、住宅内の体感温度*1が15℃未満となる割合 (表1の暖房式におけるシミュレーション)
外皮性能グレード 1,2地域 3地域 4~7地域
(参考)平成25年基準レベルの住宅 4%程度 25%程度 30%程度
G1 3%程度 15%程度 20%程度
G2 2%程度 8%程度 15%程度
表3 冬期間の最低の体感温度*1 (表1の暖房式におけるシミュレーション)
外皮性能グレード 1,2地域 3地域 4~7地域
(参考)平成25年基準レベルの住宅 概ね10℃を下回らない 概ね8℃を下回らない
G1 概ね13℃を下回らない 概ね10℃を下回らない
G2 概ね15℃を下回らない 概ね13℃を下回らない

表2、表3では表1で想定する暖房時間(葉山の6地域では部屋に在室している間)に対して、冬季の間、室内温度が15℃未満になる割合、最低体感温度をシュミレーションしています。
G2レベルの断熱を施すと、冬季は概ね13℃を下回らない事が分かります。
また、HEAT20は一次エネルギー消費を抑える事を主な目的としています。下の表4、表5からも分かる通り、省エネ等級4の住宅と比較してもG2レベルでは約50%削減できます。

表4 表1の暖房方式における暖房負荷*2削減率 (平成25年基準レベルの住宅との比較)
外皮性能グレード 1,2地域 3地域 4~7地域
G1 約20%削減 約30%削減
G2 約30%削減 約40%削減 約50%削減
表5 全館連続暖房方式における暖房負荷*2削減率 (平成25年基準レベルの住宅で表1の暖房方式とした住宅との比較)
外皮性能グレード 1,2地域 3地域 4,5地域 6,7地域
G1 約10%削減 約10%増加 約30%増加 約50%増加
G2 約20%削減 約10%削減 H25年基準レベルと概ね同等のエネルギーで全館暖房が可能

※表1、2、3、4、5…出典:「HEART20 外皮性能グレード」 http://www.heat20.jp/grade/