MOGI Folk Art
80年代にセレクトショップBEAMSのロンドンオフィスでバイイングを担当し、90年代に「BEAMS MODERN LIVING」を、2003年にデザインとクラフトの融合をテーマに「fennica」を立ち上げたディレクター、テリー・エリスさんと北村恵子さんによる、民藝とアートと古着などを取り扱うショップ「MOGI Folk Art」が高円寺に誕生しました。
初期の設計段階からエリスさんと北村さんのご自宅に伺い、これからお店で取り扱う商品や店舗で使う什器などを共有しながら双方のイメージを固めることから始め、ゾーニングに関しては水回りの配置を大きく変え、カウンターを中心に回遊動線を組み立てる設計となりました。
造作でつくった木製のドアを開けると白と黒の市松模様のタイルが目に入ってきます。これは、二人が暮らしていたロンドンにある自邸のバスルームのイメージで作りました。スキップフロアの店内とタイルの廊下を繋ぐ階段には北海道産のキハダを採用し、段板の幅を広くしたいとの要望でゆったりとした階段が完成しました。
店内の床には屋久島産の杉をあえて半分にカットし、その荒々しい断面をフロア材の表に使用しています。お客様との交流の場でもあり皆が集まる場でもあるレジカウンターには、北海道産のキハダの一枚板を贅沢に使い、また、店内の造作シェルフもキハダで統一し設ました。
お二人が持ち込みで用意したMogens Koch(モーエンスコッホ)のヴィンテージキャビネットや李朝の箪笥、アフリカやインドの什器など様々な国やテイストがミックスされた店内の壁には、お二人をはじめ、友人達やSPCメンバーで鳥取の和紙やイギリスのヴィンテージの壁紙をワークショップ形式で設ました。
店内奥のスペースに配置した大きなテーブル什器は、マハラジャの住む宮殿などを手掛ける職人が作ったインド製のドアを天板にし、それを支える脚にはキハダを使いオリジナルのデザインで造作。また、外に設置したお店の看板は、カッコつけすぎないようにしたいとの要望であえてテント生地を使い、高円寺の下町の雰囲気にも馴染むようなデザインとなりました。
国内外を問わず時代も産地もジャンルもスタイルも超えて、同質の眼差しを向けられたさまざまな器や、新品からヴィンテージの家具や洋服に至るまで、アートギャラリーのようなランナップがずらりと並ぶお店MOGI Folk Art。二人の目を通して選ばれた数々の「もの」を、ぜひ皆様にも見て体感してほしいと思います。
所在地:東京都杉並区
竣工年:2022年
用途:店舗
構造:木造
建築面積:58.83㎡
仕上-
外部
外壁:既存のまま
屋根:既存のまま
軒裏:既存のまま
建具:米ひば片開き両袖FIX木製建具
内部-
床:磁器質タイル300角市松貼(名古屋モザイク シクラスⅡ)
無垢杉板プレーナーラフ仕上げ貼
壁:P.Bt=12.5下地AEP塗装
P.Bt=12.5下地和紙貼
P.Bt=12.5 杉無垢板縦羽目貼
天井:P.Bt=9.5下地AEP塗装
建具:既製品
什器-
カウンター:北海道産ナラ無垢板
棚板:北海道産キハダ無垢板
テーブル:海外輸入SD(インド)加工オリジナルテーブル
断熱-
屋根:既存のまま
壁:既存のまま
床:既存のまま
Photo:Akihiro Furuya