【半島暮らし】2020.10-えきそあぽ便り 3émé ’秋の夜長の‥’

もう季節はすっかり秋、いや冬の手前まで感じる気候になりました。とにかく空気が湿気を帯びて、寒さがしっとり染み込む感じです。最近、歩きながら風を感じると共に風の中に存在する匂いの様なものを味わう様にしています。そうして気づいたこと。匂いが、記憶を運ぶことがあるのです。記憶、とは非常に唐突。面白いのは、徐々に日暮れが早まるこの季節はある意味まるではめられたかの様に過去の色々な記憶や印象を蘇らせる様な作用がある様に感じます。

夏にメラメラとやる気を潜らせて一度走り込んだ様なものも、なんとなくシンシンと感じる冬の温度がそのメラメラした勢いってやつをなんとなく落ち着かせる様な感じがします。や、それただの気分でしょ?っていう次元で収まらない様なしっかりとしたタームがある気がします。もしかしたら秋という季節には何かをじっくりと見つめる様な作用をもたらす気候が必ずあるのかもしれないと思います。秋と言えるほどの気候が存在しにくい地域だってあるのですから、秋というこの季節感を味わえるということはもしかしたら非常に貴重かもしれないと思います。

ただ、一度思い巡らせる前に世の中はイベントづくしだったりするこの季節。これはなんとなく惑わされがちだったりします。私も以前はよくこのイベントの様なもの、に惑わされていました。本当はじっくりと煮詰めて考えたいことや、味わいたいことがあるはずなのになんとなく感じる寒さが手伝って人淋しさを紛らわすような事があった様に思います。そこで家でじっくりと楽しむ事ができる季節と捉えると、置かれたその場所で、その住処をより味わう事ができる様な気がしてきます。

例えば海辺に近いところに住む知人は、夏には気づかなかった湿度の変化により木戸の音が変わった、とか。そういうことに少し気づける季節だと思います。田舎に住む素晴らしい景色を持つ知人はただそこを見るだけで楽しいと言っていました。わざわざイベントごとに足を運んだりしなくても。私は最近思う事があります。もしかしたら、いつも誰かと会ったりしなくても以前にあった時にその人が言ったことを思い返すだけでもその時間を過ごすことに近いと思いました。なんてことを言ってるうちに、すっかり冬になるんでしょうけどね。

写真はある西岸地方の夏。夏に撮った写真を秋に眺めるのは、夏の暑さを充分に感じられてまさに夏の匂いを敢えて思い出す、そんな時間になりそうな気がします。海際に住む人たちは、日が沈むのも登るのもより日常に溶け込んでいる様な部分があるのかもしれないなぁ、と勝手に思ったりする秋の夜長であります。

今日は夕暮れごろ、ある80歳にもなる友人宅にちょっと挨拶がてら行き、山に住む人、海に住む人の力強さについての話を聞いたのでした。電車に乗った頃にはすっかり真っ暗になっていた、午後八時過ぎのこと。今回は、ちょっと茶でも飲みながら、ダラダラ読んでいただけていたら幸いです。皆様も、暖かくして夜はお休みになってくださいね。少しでもぐっすりと眠る日が多くありますよう!

岡。