【左官】2020.10-人研ぎテーブルのサンプル

人研ぎテーブルのサンプルが完成しました!!今日からSame Picture Companyの工房の作業台として新たに加わった什器天板。サイズは2m20cm×81cmとかなり大きく、まるでひとつの石の塊を研ぎ出したような存在感があります。

そもそも人研ぎとは?「人造石研ぎ出し仕上げ」の略です。石の価格が高かったひと昔、石の風合いに近づけるための技法として人研ぎが盛んに採用されていました。なかなか馴染みがないように思われがちですが、学校の手洗い場や階段の手すり、公園のすべり台などがまさにそれです。学生の頃、階段の手すりをすべり台のように滑っていた人、いませんか?私はかなりやっていましたが、笑。

研ぎ出しは、セメントと種石を混ぜたもので塗り付けて人造石を作り、硬化後その表面を研磨する施工です。作業や理屈はとてもシンプルに見えますが、硬化反応が温度によって違うので(夏場と冬場では数日の誤差が出ます)、見極めがとても重要で、職人の経験値が出来栄えを左右します。硬化状態を見ながら、徐々に砥石の番手を細かくして研ぎ上げていきます。

今回のサンプルは、白セメント・顔料4種・種石2種の配合で作りました。全ては写真に写ってはいませんが、素材の組み合わせ次第で色味や表情は幾通りも可能です。

それから、徐々に細かい砥石で磨いて、程よく艶が出てきた塩梅で完成となります。鏡までとは言いませんが、天板に写り込むこの感じ、艶っぽさが伝わると嬉しいです。

そして、これからが本番。いよいよ什器の制作に入っていきます。納品まではかなりの時間と労力が費やされますが、その工程も含めすごく楽しみです。このコラムでも進捗を報告していきたいと思いますので、皆様も楽しみにしていてください。(m.t)