【建築探訪】2022.8-横浜港大さん橋国際客船ターミナル

打合せの帰りに近くまで来たので、横浜港大さん橋国際客船ターミナルへ行ってきました。この日は天候に恵まれませんでしたが、なかなか情緒のある雲で、良い感じに景色を演出していました。

みなさんも一度は訪れたことがある観光スポットだと思いますが、建築物としても有名で、1995年に実施された、世界41カ国660作品の応募があった「横浜港大さん橋国際客船他ターミナル国際コンペ」の中から選ばれた、アレハンドロ・ザエラ・ポロ氏とファッシド・ムサヴィ氏の建築です。

波のような曲線面を用いることで、床・壁・天井を連続した同一部分として捉えた設計になっており、各階を階段ではなく緩やかなスロープで繋いで各フロア間の連続性を生み出し、画期的なバリアフリーも兼ねている設計ですね。

船からの景観に配慮した低層設計で、横浜港全体に馴染むような設計も考えられているそうです。

屋上は広大なウッドデッキと芝生でつくられ、港の景色が広がる開放的な空間となっています。

大さん橋は客船ターミナルでありながらも、屋上が公園として市民や観光客に解放されているのが嬉しいですね。

近藤が怜に説明をしながら、ゆっくりと二人で歩いていきます。

建築素材の種類も少なく、装飾を極力省いたデザインを邪魔しないようにするため、案内表示はおおげさな看板などではなく、床や壁に直接ペイントしていますね。

屋上からトンネルのような緩やかなスロープを下っていくと、洞窟のような空間にアクセスできます。

ここは、柱のない大空間で約2,000㎡の広さがある大さん橋ホールで、会議や展示会、イベントなどが行われています。

印象深いこの天井は日本の折鶴の首の部分からヒントを得たものだそうで、三角形を組み合わせることで強度を生み出し、柱を入れずにこれだけ巨大な建物の構造を支えています。

再び外に出て建物自体をじっくり味わいながら横浜港のパノラマを眺め、いつ訪れてもやっぱり気持ちが良くなる不思議な建築だな、としみじみ感じました。すっかり日が落ちてきました。

シンプルな要素を持ちながらも曲面を多用し、左右対称ではなくあえて少し崩したデザインがとても有機的で、とても心地よい感覚を身体で感じることができました。何度訪れても素敵なところです。ちなみに、夜景も綺麗なので夜もおすすめですよ!(m.t)