【現場いろいろストーリー】2024.2-京都滋賀遠征のおまけストーリー

先日のコラムの続編です。せっかく滋賀まで来たので、帰る前にキム兄が保存修理に携わったお寺巡りのプランを追加しました!

早速、京都から滋賀に帰る途中に立ち寄った琵琶湖岬に聳える「長命寺」の見学からスタート。

四国三十三所の三十一番札所である「長命寺」は808段の階段を登って到着しますが、この日は時間の余裕がなかったので車で駐車場まで行きました。(次回はちゃんと808段歩いて登りたい!)

重要文化財である三重塔。木材の薄い板を使った伝統的な手法の“こけら葺”の屋根も綺麗に補修されています。

そして、キム兄が20代の頃に責任者として担当した重要文化財保存修理工事はこちらの三仏堂や他2棟です。時代によって屋根の特徴が変化しているそうですが、写真で見ても解るように勾配がきついこの屋根は、この時代(桃山時代)の特徴が非常に表れています。中世の塔の屋根に比べて急勾配であったり軒の出が浅いのが特徴だそうです。

当時の思い出を懐かしそうに語るキム兄。

「縁板」の補修跡。

柱の下部の腐食の補修あと。下30センチほどを新しい材で補強しています。

この一見ドアのように見えるものは、耐震補強壁。もちろんこれも若かりし頃のキム兄が造ったもの。昔からあったドアではなく補修のタイミングで新たに制作。全体の雰囲気を損なわないよう、色やつくり方を工夫しているそうです。また、取り外しが可能であったり、本体には釘を一切使わずに造っています。

さて長命寺を後に次に向かいます。

次の目的地である国宝建造物の「善水寺」へ到着しました。

そしてこちらの補修は縁板がメイン。自身で作業をした縁板を歩く後ろ姿、背中で物を語るキム兄。

正面に向拝を持たないので屋根の曲線がとても美しく覗えます。中に入ると、本尊薬師如来をはじめ三十余躯の仏像がズラーと並び、その迫力に腰が抜けてしまいそうになりました。

さて、最後はラコリーナ近江八幡でお土産を買って今回の旅を締め括ります。ちょうど2年前にキム兄とえりいが訪れた時の建築探訪の様子はこちらのコラムをご覧ください。

2年前にはまだ完成していなかったこの建物は、2023年1月にオープンした「バームファクトリー」のエントランスです。人研ぎの床が映えてます。

こちらが工場の見学へ繋がる階段、期待感MAXですね。

生地作りのブース。

出来立てのバームクーヘンが包装されるまでの流れがひと通り見学できます。

2階に併設しているカフェでできたてのバームクーヘンminiをいただきました〜!温かくてホワホワ!

そして、お土産も無事に買えたのでミッションは全てクリアです。今回は吉村家とその他プロジェクトで使う化粧無垢枠材の木造りの様子を取材する旅でした。製材前の木の原盤が仕上がる工程を間近で見ることができ、今までは当たり前のように仕上がった材を見ていましたが、これほどの手間と作業工程があって初めて建材として生まれ変わるんだなーと改めて実感しました。簡単に手頃に手に入る新建材との違いも改めて深く理解することができた旅となりました。のっさん、キム兄、ありがとうございました(m.t)