【現場いろいろストーリー】2022.6-建て方@高台の家

「高台の家」の建て方がいよいよ始まりましたが、今回はいつもと様子が違います。実は、以前からキム兄がやりたかった「手起こし」での初めての建て方です!建築に限らず機械に頼り、楽をして作ることが多くなったこの現代、それはそれでとても良い側面もあります。

ただ、身体を動かすことが仕事の基本である職人(キム兄)にとっては、ひとつひとつのパーツ、木の重さ、木の長さ、を肌で感じならが収めていく作り方をやめてしまうと感覚が鈍ってくると言います。そして、そんな想いが実を結び、キム兄の描く作り方を実現できる仲間たちにやっと出逢えました!(六人衆)

さて、いよいよそんな仲間達との協働物語の幕開けです。早速、クレーン車を使わず写真のように全て人の手(人力)で材を荷上げしていきます。

床下地の打ち付け。もの凄い速さで走る鉄砲のリズミカルな音は、何度聞いても心地よいです。さすが職人さん、かっこいい!

二階部分の床が塞がると、次は天井・羽柄(端柄)などの材の束を移動させます。もちろん、この作業も人力です。たくさんの経験から自分たちで運ぶ知恵や方法を身体で感じているように見えました。

柱を一気に立てていきます。

!!初めて見るこの赤い棒、建前カケヤと刺又を組み合わせたような道具「八戒棒」の登場です。桁や梁の押し上げを誘導し、さらにアゴ部分では柱の打ち込みができる優れもの。手起こしならではの道具ですね、脚立要らずの現場です。

この「八戒棒」、恐らく関東圏でしか売ってない?らしく、“キム、見たことない” 言うてました。

まだ午前中ですが、驚きの速さで作業は進みます。

室内空間のために大きな気積をとったリビングの天井部分の大きな登り梁が次から次に運ばれてきます。

何キロあるの?ってくらいのヘビー級の材も、全て人の手で組んでいきます。

高いところでの身体の動かし方、重心の取り方はキム兄が驚くほどでした。やっぱり、機械に頼らないで肌と身体で感じる経験を重ねてきている人たちの動きですね。

登り梁が一通り組めた後は母屋をかけていきます。登り梁に上手く足を絡めて身体のバランスを取っていきます。

下からは木平が屋根垂木を二階に配り始めています。

下ではキム兄が何かを加工し始めました。

「破風のデザインをできるだけ細くシャープに見せたい」、との設計デザインの要望を大工が汲み取り、母屋を室内の中までに収め屋根のケラバ部分をパネル工法で作っていきます。

そして、屋根パネルを人力で一階から二階に上げていき、、。

さらにテッペンの屋根まで運んでいきます。午前中の作業はこの辺でひと区切り。

さて、お昼の休憩を挟んだら午後の作業の前にいっぷくタイムです。

そして屋根パネルの続きの作業、材が次々と上げていかれます。

同時に、反対側の梁や母屋も組み上がってきています。

また一階に目をやると、間柱や窓台、まぐさを入れる近藤の姿を発見。

こちらは躯体の垂直確認。

どんどん作業は進み、西側チームは屋根垂木の作業へ。

東側のチームはハイサイド部分のパネルの取り付け作業。

野地板を張るナカジさん(キム相方)

屋根を塞ぐまで、あと一息です。

ハイサイドの窓がつく位置、屋根から見るとこんな感じです。足場がなくなり完成してしまうとなかなか見れない画角です。そろそろ終わりが近づいてきました。

今回、レッカーを使用しての建て方とは使う労力が何倍も違ったと思いますが、このチームは手起こしに慣れているメンバーなので、16時前には屋根の野地板を全部塞いでしまいました、本当に驚くほど早かったです。今まで機械を使う建て方しか見たことがなかった私にとって、今回の建て方の衝撃は大きかったです。改めて、たくさんの人の手と汗と努力で家づくりが出来ていることを痛感した一日でした。本当に大工の皆さんに感謝と尊敬の気持ちで胸が熱くなりました。ありがとうございました、そしてお疲れ様でした!

そして番外編・・・。
何かのスイッチが入った男、木平。「あそこに窓あったら気持ち良くない?」と独り言なのか、私に問いかけているのか?

図面上では見えなかった風景が、三次元の世界が見えたことによる新しい発見。後日、お施主様に「あそこに窓つけちゃいますか?」と提案していました。さあ、答えは? 次回へ続く・・。(m.t)