【現場いろいろストーリー】2023.9-人造石研ぎ出し仕上げのキッチン天板

今回は「梅の木ハウス」の造作キッチンのレポートです。人造石研ぎ出し仕上げのキッチン天板の施工を取材しました!

まずは、先日のレポートでお伝えしたキクスイさん制作の造作キッチンの土台に、人研ぎの素材(モルタル)の厚み分(10mm)を受け止める下場受け(黄色い型枠板材)を作ります。そして、グラスファイバーメッシュをタッカーで止め、下塗りの準備が完成しました。

早速下塗りの始まりです。密着を良くするために、まずは下場を45度の角度で塗り付けていきます。

それから全体の下塗りの工程に進みます。材料の中にはカチオンが含まれているので、下地の接着を強固にし仕上げ材を剥がれ難くしてくれます。

次は、中塗りです。2度塗りすることによって密着性を良くし浮きを少なくすることが出来ます。

本塗りの工程に進む前に吸水調整剤で下地の乾燥を復活させます。下地が乾燥していると、本塗りをするモルタルの水分が下地に吸収されてしまい、ドライアウトによる接着不良が起こります。吸水調整剤を塗ることによりモルタルに必要な水分が維持され硬化不良を防ぐ事ができます。

さて、本塗りの材料を作っていきますが、まずはセメントをふるいにかけて仕上げの表面に星(削った時にできる穴)が出ないように粒を細かく揃えていきます。この作業も大切な工程の一つです、手間を惜しまず丁寧に時間をかけて行います。

今回の研ぎ出し材料は、セメント・白セメント・砂、の配合となります。

攪拌機で混ぜていきます。

初めに塗り出す面の側面の塗り厚に対して、木材の定規を作っていきます。

定規の出幅が決まったらビスで固定していきます。

このような感じで、側面の塗り厚分(10mm厚)がしっかりとガイドされました。下場受けと定規の間に仕上げ材を塗っていきます。

どんどんリズミカルに本塗りの作業が始まりました。

鏝で押さえることによって、種石と種石の隙間をなくしていきます。鏝押さえをしっかりとやらないと、骨材がまばらになったり、気泡が多く入ったりするので綺麗に仕上げることが出来ません。木材の定規を外してから更に2度の鏝押さえをしていきます。

そして、次は天板の本塗りです。側面同様に定規を作りたいところですが塗り付けたばかりの側面にビスで固定することが出来ません。このような時は「定規の打ち返し」で固定します。この「定規の打ち返し」は、ビスで固定しなくても材料(左官のタネ)が膨脹する力で木材の定規が吸い付く仕組みになっています。ちなみに、左官職人にとってはこれができて初めて親方に一人前と言ってもらえるそうです。

そして天板の本塗りも終わる頃、側面が順調に硬化を始めていきます。しっかりと角を出すために力強く押さえていきます。天板まで2回鏝押さえが終わったらいよいよ研ぎ出しの工程に進みます。

最初は荒研ぎから始めます。番手を少しづつ変えながら、30・50・100・200・400・800・1500・3000とどんどん細かく研磨していきます。

研磨していくと表面には無数の穴(空気泡)が出てしまうため、ノロ(セメントを水に溶かしたセメントペースト)を塗り込んで目潰しをして、また研磨してノロを削っていきます。このように、研磨・ノロ(穴に埋め込む)・研磨・ノロ・研磨・ノロ・・・・を繰り返していきます。

番手を変えて10回ほど研磨を繰り返しますが、仕上げに近づくにつれて機械ではなく手作業に切り替えます。

機械の強い力だと骨材である石が焼けてしまうので、人の力で削ると仕上がりが綺麗に出来上がります。こうしてたくさんの工程を経て、やっと人研ぎ天板の完成です。キッチンの出来上がりはもう少しだけ先になりますので、そちらも完成次第レポートしていきます。そして、こちらの動画も絶賛制作中ですので楽しみにしていてください。また、「梅の木ハウス」は10月28日(土)・29日(日)にオープンハウスを予定しています。まだ応募の枠がありますので、ぜひご参加ください。お申し込みはこちらからどうぞ!(m.t)